インビジブルゾーン
¥1,575(税込)
    

ケースの中にボールペンをさして、ケースのフタを開けると、なんとペンはケースの中で見えなくなっています!フタを開けたままペンを抜くと、じょじょに見えるようになってケースから出てきます。オーストリアの天才マジシャン、ルーバー・フィドラー氏の考案した傑作マジック。巧妙な仕掛けによるユニークな現象は、だれをもアッと驚かすことでしょう。

考案 : ルーバー・フィドラー(1995)

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オーストリアの著名なマジック発明家であるルーバー・フィドラー氏は、1993年頃からテンヨー向けの製品のアイデアを考えていました。そしてテンヨー製品のひとつの要素である日用品を使ったマジックということにとり組み、素材としてボールペンを選びました。古いマジックの原理をボールペンに置き換えることにより、物体にボールペンを突き刺してみせる貫通現象しとてスタートしました。その後、物体の反対側からペンの端が突き出るように発展させ、ほぼ現在の形に近づきました。そしてフィドラー氏がマジックにおいていつも強烈な興味を持っているテーマが“透明性ーものが見えないこと”ということであったため、ここまで発展した時点で、全体の構成を「貫通現象」から、「ものが見えなくなる空間」というテーマに切り替えてしまったのです。

ペンの中央が見えなくなるというテーマそのものもユニークですが、なんといってもこの現象を印象づけているのは、ケース中央のスプリングです。効果を高めているだけでなく、なにゆえにこの奇妙な素材が必要なのかという心理的なミスディレクション(注意をほかにそらすこと)にもなっています。このスプリングの発想によって、この作品は完成したといってよいでしょう。フィドラー氏の最初の試作品では、ペンをケースに入れるとき、中の仕掛けといちど接続させる必要がありましたが、テンヨーの菅原茂は、ただペンをさしこみ、抜くだけでよいという機構に置き換え、よりやさしく演じられるように工夫を加えました。作品のタイトルもフィドラー氏との間で何度も案を練りながら決められたものです。

マーゴ・アントンさんのインビジブル・ゾーンの見せ方

2000年7月にリスボンで開催された、FISM世界マジック大会。毎晩行われるプロフェッショナルによるステージショーでのできごとです。スペインのマーゴ・アントンさんが水槽マジックをしようとして手錠をかけられたまま水槽に飛び込んだとたん、水槽が割れてしまい、前方に座っていた観客は全員水びたしという大ハプニングが起きました。そのアントンさんは、とびきりユニークなマジックを発明することで知られるマジックの発明家でもあります。さて、アントンさんの考えたインビジブル・ゾーンの見せ方を FISMの会場で見せていただき、発表の許可をいただきましたのでご紹介します。

あらかじめケースのフタの部分をケース本体からはずしてしまいます。バネも使いません。粘土を用意してケース本体の回りにかぶせ、ケース全体をおおって長方形の粘土のブロックを作ります。あとでペンがすぐに押し込めるよう、ケース両端の穴の部分の粘土をけずって調整しておきます。またケース中央のバネがあった部分は、裏側の粘土を半分くらいの深さまでけずって凹ませておきます。これはあとで穴をあけやすくするためです。

粘土の固まりをとり出し、ペンをさしこんで反対側から端を出します。その状態で左手をケースの裏に当て、人さし指の先で粘土を押して穴をこじあけます。ペンの中央がなくなったように見えます。その状態でペンを前後に動かしてみせます。あとは通常と同じようにペンを抜きとってみせます。

この方法により、観客には最後までケースを見せないことになり、日用品だけを使ったマジックとして見せることができます。アントンさんは、いくつもの粘土の固まりを用意しておき、それをテーブルの上に並べて、そのうちのひとつをとりあげて、ペンを差し込むという念のいった見せ方をしています。


相手に渡してもOK!?

テンヨーの開発スタッフが1994年のニュールンベルグ見本市に出かけたとき、オーストリアの著名なマジック発明家であるルーバー・フィドラー氏と会合を持ちました。そのときフィドラー氏が披露した多くのアイデアの中でひときわ目を引いたのが、この「インビジブルゾーン」で、すぐに商品化の契約をかわしました。その後この作品はアメリカのマジックの雑誌ジーニー1996年5月号で次のように紹介されました。筆者のダニー・オーリンズ氏があるとき乗った飛行機で、スチュワーデスが乗客の子供に、紙ナプキンをこぶしに入れて消失させるマジックを演じているのを目撃しました。そこで彼は、持っていた「インビジブルゾーン」をそのスチュワーデスに見せたところ、彼女は完全にだまされたあと、「やってみていいからしら」といいました。すぐに仕掛けがわかってしまうものと思い、道具を渡したところ、彼女はは30秒も調べたあげく、まったくタネがわからなかったのです。彼女は特殊なペンの形状に気付いたのですが、それが意味あるものとは考えず、ペンをケースに入れることすらしなかったのです。筆者は、その後も何人かの人に道具を調べさせることを試して、短時間であれば、相手に渡して調べさせられること、それゆえにテンヨーの製品の中でももっとも強力な効果をもつマジックであることを指摘しています。フィドラー氏自身も、演技のあと、ケース、スプリング、ペンをすべて別々の人に渡して調べさせています(ペンはキャップをはずして渡し、丸い先端を見せて「マジシャンのボールペンなんですよ」と説明しています)。