サイバーマジシャン電脳手品師
「デジタル・イリュージョン編」
 

エンタテイメント性、現象の意外さなど、それぞれバラエティに富んだ7つのマジックを集めました。サイバーマジックの内容をまず試してみたいという場合には、こちらからスタートすることをおすすめします。

※対応OSにご注意ください。
くわしくはこちらへ。

1.トゥデイズ・スペシャル
このマジックだけは、導入編としてコンピュータがあなたにマジックを見せる形になります。果たしてコンピュータはあなたを驚かすことができるでしょうか。

2.マジシャンマン
1組のトランプから1枚を自由に選んでもらいます。画面の中のマジシャンがウサギに命令すると、ウサギが帽子の中から、選んだカードをとり出してきます。

3.グラスの中のカード
マジックの古典ともいえる「ライジングカード」が、デジタルの世界に。1組のトランプの中から、3枚を自由に選んでもらいます。画面にブランデーグラスが現れ、その中に1組のトランプが立ててあります。マウスをクリックするたびに、選ばれたカードが中からせり上がってきて、最後は意外な結末に…

4.パスポート・プリーズ
生年月日と性別を入力してパスポートを発行すると、相手の選んだ都市に向かって飛行機が飛んでいきます。

5.カラーテスト
1組のトランプの中から1枚を自由に選んでもらいます。そのあと車や宝石などの好きな色を入力させると、水晶球に相手の選んだカードが現れます。原案はアレックス・エルムズレイです。

6.カード・サークル
12枚のトランプを切りまぜたあと、あなたとコンピュータが同時にカードを配っていき、何枚のカードが一致するかを実験します。偶然に一致したはずの何カ所かが意外な結果を生み出します。

7.カメラ・トリック
1枚のカードを自由に選んでもらい、その表に好きなイニシャルを書いてもらいます。そのカードを画面に向けてポーズをとってもらいます。画面の中のマジシャンがそれをインスタントカメラで撮影すると、すぐに現像され、イニシャルの書かれた相手のカードが現れます。


開発ストーリー

コンピュータを使ったマジックの多くは、観客が自由に選んだものをコンピュータが当てるという現象です。物を出したり消したりできないのですから、必然的にそうなるともいえます。さて、それをタネの観点から見ると、大まかに分けて3つのスタイルがあります。

1.マジシャンがコンピュータを操作して、ひそかに別の情報を伝えてしまう

例えば、マジシャンがコンピュータに質問するような形で「これを当ててごらん」と入力すると、コンピュータが「時計」と表示して当てます。これは、昔からあるテレパシーのマジックの応用です。マジシャンが後ろを向いている状態で、助手が観客から受けとった品物を当てるのですが、あらかじめ助手とうちあわせておき、助手が「これは何ですか」と聞いたときは“時計”、「これを当ててください」と聞いたときは“ハンカチ”などと決めておくのです。コンピュータはあなたの助手となって、入力された質問によって、返す言葉を変えるわけです。

2.コンピュータが、操作している人にマジックを見せる

この方法は、多くの場合、数理的な原理を使ったマジックの応用となり、コンピュータなしでも、カードなどを使って演じることができます。簡単な例では、昔からある「年齢当てカード」というものがあります。いくつかの数字が書かれたカードを見せては、「この中にあなたの年齢の数はありますか」と聞いていき、最終的に年齢を当てるというものですが、コンピュータに演じさせれば、あなたは計算をする必要がありません。こういった数理的マジックは、複雑なものになると、あらかじめ覚えておかなければならないことが多くあり、マジシャンの負担が大きいのですが、コンピュータなら、それをすべて代行してくれます。一人遊びとしても楽しめ、入力ミス以外、失敗がないというメリットもあります。

以上2つの方法とも、コンピュータならではの音楽やビジュアルなイフェクトを加えることによって、さらに効果を上げることができます。しかし、不思議さという点では、1番目の方法では、どこかで情報を伝えたのだろうという感じ、2番目の方法では、コンピュータだから自動的にできてしまうのだろうという感じが、ときとして出てしまいます。

そこで、コンピュータを使って、本当に不思議さを出すにはどのようにすればよいかというのが、第3のアプローチでした。まずいえるのは、マジシャンがキーボードやマウスにさわってはいけないということです。実際にはリモコンによる操作もできるわけですが、必要であれば相手のパソコンを使うなど、その可能性は除外するものとします。

3.マジシャンはコンピュータにさわらないで、観客だけがマウスやキーボードを操作する。

それでいて多くの選択肢の中から観客が自由に選んだものをコンピュータが当てる。観客が入力する情報は、コンピュータが当てるものとは関連がなく、何の手がかりにもならないものに限定する。

「サイバー・マジシャン」に収められているマジックの多くは、この3に該当します。また、この企画を練っているときに、アレックス・エルムズレイさんがそのような作品を発表していることがわかり、その中から傑作数点を採用する契約をかわしました。最終的に「サイバー・マジシャン」には上記のすべてのパターンのマジックが採用されていますが、より不思議さが出るように、いずれも新たな工夫を加えています。2006年11月に任天堂から発売されたDSソフト「マジック大全」は、テンヨーがマジックの企画をしたものですが、「サイバー・マジシャン」から発展させたものも含まれています。

電話でマジック

サイバー・マジシャンの説明書の英訳をお願いするため、ニューヨーク在住のマジシャン、スティーブ・コーエンさんにCD-ROMの試作版を送ったときのことです。仕掛けを知る前になんとかその効果を味わってもらいたいということで、コーエンさんに次のように頼みました。荷物が届いたら、CD-ROMをとり出し、1組のトランプを用意してもらいます。そして、指定した時間に、電話の近くにパソコンをセットしてもらいます。その時間にテンヨーから国際電話をかけ、CD-ROMをセットしてもらい、日本側でもあらかじめセットしたパソコンとトランプを用意して、同じ画面を見ながら操作を指示していきます。「手元のトランプから1枚お好きなカードを選んでください。何を選びました? ダイヤの8? いまなら変えてもいいですよ」「それではまず画面のマジシャンが持っているトランプを・・・」というようにマニュアル通りに進めていけば、目の前で演じるのとまったく同じ効果を出せます。(実際、受話器の向こうから、隣で見ていた奥様の驚きの声が聞こえてきました)。そのようにして半分以上のマジックを電話を通して見せることができました。そして、わかったことは「テレホン・テレパシー」や「魔法陣」(ともにデジタル・ミステリー)といったトリックは、電話で演じた方がマジシャン側にとって、はるかに見せやすいということです。それでいて効果は直接見せる場合と同じか、リモコンなどが使えないことが明確な分、より不思議といえます。