「スピリット・キャビネット」という古いマジックがあります。大きな箱の中にコップがセットされ、そのとなりにボールが置いてあり、箱の中をカーテンで隠した状態でボールがコップの中に飛行するというものです。このマジックの現象をコンパクトにするところからアイデアがスタートしました。ボールを飛行させる手法を変え、メカニカルなギミックを使うことによって、やさしくでき、また相手の目の前で演じられるようになりました。
マジックに詳しい方ならおわかりの通り、「ミステリーチャイナボックス」のケースは、ステージマジックで、空の箱から箱いっぱいの品物をとりだす道具の形状に似ています。片方のフタの内側に取り出し用のポケットがついたものです。当初はまさにその原理を利用して、ギミックは片方のフタにとりつけていました。つまり後ろから見られたら、タネは丸見えの状態だったわけです。しかし、最終的には、そのギミックは別の所に移すことになってしまいました。最初のオリジナルのタネを知っているスタッフがこの改良版を見せられたとき、いちばん不思議だったのは、タネのギミックはどこへ消えたのか、ということだったのです。

ボールの空中飛行 清水一正
右手に3個のボールをひそかに握っておきます。「ミステリーチャイナボックス」のフタを開けて長い方の筒に別の3個のボールを入れてから、相手側のフタを閉じます。
ケースを手前に傾けて中のボールを右手に出すふりをしますが、左手の親指で筒の上を押さえてしまい、ボールは筒の中に残します。
右手を広げ、初めから持っていた3色のボールを見せます。ケースをテーブルの上に置き、フタを閉じます。右手のボールをポケットの中に入れます。右手をポケットの上にもっていき、上からボールをひとつつかみ出す演技をします。そのボール空中に投げ上げるふりをして、左手はそれに合わせてタネを押します。いかにもボールが飛び込んだかのような音がします。それを3回くり返したあと、ケースのフタを開け、3個のボールが戻ったことを示します。そしてそのあと、説明書の手順を行うことができます。
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