3つに仕切れらたケースをよく調べさせ、3本の金属の棒をねじで留めてもらいます。端の金属棒には指輪を通します。さらに指輪に触れることのできないように透明のカバーをします。この監獄のように厳重に閉じこめられた指輪が、ケースをテーブルの下などに隠すと瞬間に別の金属棒に飛び移ってしまいます。ケースの巧妙な仕掛けは相手に渡しても絶対にわからないでしょう。

考案 : アンジェロ・カルボーン(2001)

1997年、テンヨーのスタッフはイギリスのアンジェロ・カルボーン氏の自宅をたずね、数多くのオリジナル作品を見せてもらいました。その中で、最初に商品化したのが「THEイリュージョン」でした。なんといっても、イリュージョンの正確なミニチュア版ということに惹かれたわけです。そして、もうひとつ魅了されたのがこの「プリズン・ボックス」でした。その理由は、とにかくその不思議さにあります。また、仕掛けを知ったときの意外性もテンヨー好みのアイデアでした。開発の過程でロック・システムが加えられ、最初の出会いから4年後に商品化が実現しました。

さて、相手に道具を渡すためのロック・システムは、テンヨーの製品の特徴のひとつです。「できる限り、マジックが終わったあと相手に道具を調べさせることができるようにしたい」というのは、どんなマジックの場合でも検討されるテーマです。ここでいうロック・システムの定義は、

「何らかの装置によりマジックの現象を起こしたあと、別の装置を働かせることによって、現象を起こすための装置を働かなくすること」となります。

したがって、ロック・システム自体はなくても、まったく同じようにマジックは成立し、ただ相手に道具を渡すことができない、というだけの違いになります。多くの場合、マジックを考案した時点では、ロック・システムは存在せず、商品化の過程で加えられることになります。

テンヨーの製品で一番最初にロック・システムが登場したのは1981年の「コインパニック」で、このときは、秘密の箇所を押すことによってロックがかかるというものでした。その後、「X-レイ ファイル」では、箱根細工スタイルのロックが使われました。そして、さらにソフィスティケートされたロック・システムとして、「リング・ミステリー」ではマジックが終わると自動的にロックがかかるようになりました。この「プリズン・ボックス」では、演技の際のフタの開閉に連動して自動的にロック・システムが働くという、新しいスタイルが取り入れられました。このロック・システムの考案は菅原茂です。

ハンカチを使わない方法

説明書では、仕掛けを操作するのに、体やテーブルの下に隠したり、ハンカチで覆っておこなう方法が解説されています。しかし、片手で操作する方法を練習するとなんのカバーもなしに相手の目の前でリングを移動させて見せることができます。図のようにケースを持ちます。仕掛け部は小指で押さえています。そしてケースの正面を相手に向けたまま右手をぐるぐると回転させます。押さえていた小指をはなし、右手の指を使って仕掛けを操作し、リングを移動させます。ケースをすばやく回転する動きで、秘密の操作を見えないようにするというわけです。秘密の操作が終わったら、右手の回転を止めて、リングの移動を示します。